昔はよく数えたものだ、三百か、四百まで、いろんなもので、雨とか、鐘とか、明けがたの雀の声とか、さもなければ、なんにもたよらずに、なんの理由もなく、ただ数えるために数えた、それからその数を六十で割った。そうやって時間を過ごした、わたしが時間だった、わたしは世界を食いつくした。いまは違う、昔とは違う。人は変わる。年を取りながら。『マロウンは死ぬ』ベケット