2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「文体」を獲得して初めて、作家は、机に向かわない時も作家でありうる。なぜなら、「文体」を獲得した時、言語は初めて、書かず語らずとも、散策の時も、友人との談話の時も、電車の中でも。まどろみの中でも、作家の中で働きつづけるからである。中井久夫

暗さは寒さよりもはるかに生物を消耗させるものだ。『眼と太陽』磯崎憲一郎

彼は、最初から断片として構想された形式は、人類最後の日における美しきものの像を確保している、というのです。『鳥を探しに』平出隆

あるいは、たとえば鳥類が発している鳴き声は、つねに人間に聞こえない音域をともなっているという説を、ものの本で読んだことがある。『鳥を探しに』平出隆

は死の側にあると言うよりはむしろ、死こそがなのだ。『平面論』松浦寿輝

死者の写真を見ること。これが、の体験のいわば粗系である。『平面論』松浦寿輝

現象学とはについての特殊な方法論です。村上靖彦

世界と数行のことばとが天秤にかけられてゆらゆらする可能性。谷川雁

ところが、ふつうの状態では、そういう無意識(ほんとうは意識のない無意識などというものはないのですが、そこでおこっていることに高次元のオーダーがあることを、「意識」が気づかない、ということだけのことです)の活動は、意識の表面にはめったにあら…

認識の対象に接近するのではなく、その反対に、顕微鏡は新しい尺度の距離を作り出すのである。セール

メカスは、自分にとってWTCとは、北斎にとっての富士山のようなものだったと書いている。佐々木敦

田川 建三(たがわ けんぞう、1935年 - )は、日本の新約聖書学者、著述家。宗教批判を通じて現代批判を試みた著作でも知られる。「神を信じないクリスチャン」を名乗る。1965年より1970年に国際基督教大学で助手および講師として勤め、1970年4月に「造反教…

この言葉はわたしに、じぶんが不明になるという体験をポジティヴにとらえていいのだと呼びかけた。鷲田清一

俺のいた町には実際にそんな裏街はなかったけれど、精神的にはあったんだ。『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

ピカソとデュシャンがいるから何もできない。だけどピカソとデュシャンがいるから何でもできる。横尾忠則

偉大な冒険とは、同じ顔のなかに日ごと見知らぬ者が現れるのを見ることだ。ジャコメッティ

哲学とはおのれ自身の端緒が更新されていく経験である。メルロ=ポンティ

ベルリンの壁が壊れたときも、とシュテファンがいった。 「ぼくはタクシーの運転手。夜、一人のお客さんを乗せて、東に入りました、東は入ったこともなくて。お客さんもぼくも。それで迷いました。明け方になってやっと見つかりました。その通りは、入ってい…

「その書き出しなら覚えているよ。先生は、先生は、と畳み掛けるようなものでしょう。夏目漱石の「こころ」もそうだけど、先生は、とつづく文章はふしぎな感じがするね」『鳥を探しに』平出隆

どの「聖書」を読むかで、その人の教養や、信仰者としての魂の構えが大きく変わってしまう。この「聖書」を読む前に、「新共同訳 聖書」を手にしてみてください。あるいは岩波文庫になっているものや、英語版「King James Version」、フランス語版「TOB」で…

キリスト教が真理なら、キリスト教についての哲学はすべて虚偽だ。ヴィトゲンシュタイン

聖書がホログラム内のさまざまな深みで、それぞれが年代に従う多様な層として現れた。やがて聖書の全体的な構造が、どの角度からも見ることができるとともに、内容を読むことのできる、三次元コスモスを形成した。観察軸の傾きに応じて、異なったメッセージ…

プラトンは「学習とは一種の回想である」と述べている。『ヴァリス』フィリップ・K・ディック

〈帝国〉とは錯乱の規定、錯乱の法典化である。狂っており、本質が暴力的なものであるため、暴力でもってわれわれにその狂気を押しつける。『ヴァリス』フィリップ・K・ディック

思いだしていただきたいが、人を助けることは、ファットが以前にやめろといわれたふたつのことのうちのひとつだった。人を助けることと麻薬をやること。麻薬はやめたが、精力と熱意のすべてが、今や人を助けることにむけられていた。麻薬をやりつづけていた…

神域一帯が野鳥の森とされていた。しかし、一羽の野鳥も目の前を過ぎないことに、私はいっこうに不審を抱かず、むしろいっそう、そこが野鳥の森であることを感じていた。『鳥を探しに』平出隆

全生とは死ぬこと也 死ぬということ 生ききって初めてあり生ききらぬ人は死ねず 野口晴哉

海のざわめき。天と地とをへだてる曲線。草むらをゆく風。鳥の鳴き声。こういったすべてが我々のうちにさまざまな印象をしずみこませる。そして、突然、こちらの意向とはおよそなんの関わりもなしに、それらの記憶のひとつが我々の外にひろがり、音楽言語で…

一方では、この枠はあまりに狭く、そのため我々の言語の多くの概念で、常にその実体に附属していた、たとえば、精神、霊魂、生命というような概念を入れる余地を見いだすことが困難であった。精神は物質界をうつしだす鏡のようなものとしてのみ、もちこまれ…

夜の神秘な詩情や、月の光の愛撫をうけた木の葉がいずれからともなく立てるあの千々のささやきのなかに、生きている証しをそっとうかがわせる現とも見えぬ風景、疑えはしないが幻影のような世界は、音楽だけが意のままに喚起する力を持っている。ドビュッシ…