2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧
7:12pm
いろりの火が燃えるのを眼にし、柱にかけたカーバイドのランプの灯りと炎の灯りに照らし出された六さんと酒を飲んでいると、酒が酒でないような気がしていた。『地の果て 至上の時』中上健次
8:22pm
母にとってもっとも大切なものは義務だった。『三人の女』ムージル
内山は午後の長さというものを別の形で知った。『金沢』吉田健一
2:26pm
11:48am
6:23am
2:46pm
われわれは、純正な意味では、他者の死亡を経験することはできない。せいぜい常にただ「その場に居あわせて」いるだけなのである。 ハイデガー
2:48pm
それとも君は、すべてを無として措定し、しかも自分は存在しようとする、そんなエゴイストなのか。『経済学・哲学草稿』マルクス
6:14am
6:24am
疲れるのを避けるためというよりは、それを眺める時間を引き延ばすために、ダールマンはわざとゆっくり歩いて、深い喜びを感じながらクローバーの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。 『南部』ボルヘス
人間の本質が選択の自由にあるとするならば、自由しか選択できないということになる。ミシェル・レリス
2:06pm
11:42am
平原が何かを語りかけようとする夕暮れのひとときがある。 『結末』ボルヘス
地上のどこかに、あの光を発する人間がいるのだ。地上のどこかに、あの光そのものである人間が存在しているのだ。 『アル・ムターシムを求めて』ボルヘス
11:40am
三人ともスクリーンは見ているが、ただそうしているだけであることも分かった。『別れる理由』小島信夫
いつかあの空が僕を忘れたとして その時はどこかで雪が降るのを待つさ 山口一郎
無益な意識のカタログ。『記憶の人、フネス』ボルヘス
7:05am
8:17pm
こんな切れっぱしでわたしはわたしの崩壊を支えてきた 『水死』大江健三郎
これらのものはすべて偶然に生まれたもの、いわば平原の夢だった。『南部』ボルヘス
京子は朝ベッドの中ですすり泣いていることがあった。度々のことであるのに、どうしてか新しく泣いているように思え、その度に彼は自分の心が邪慳になっているのにおびえた。『別れる理由』小島信夫
6:21am