海のざわめき。天と地とをへだてる曲線。草むらをゆく風。鳥の鳴き声。こういったすべてが我々のうちにさまざまな印象をしずみこませる。そして、突然、こちらの意向とはおよそなんの関わりもなしに、それらの記憶のひとつが我々の外にひろがり、音楽言語で自分を表現する。ドビュッシー音楽論集