学校の、会社の行き帰り、かつて十数年と通った道をいまは、
好奇心から歩いてみる。
もうそこには住んでいない事実だけが優しくそして残酷に浮かび上がる。
自分の影に手をのばす。
もうギターは聞こえない。



いろんな思いがわき上がっては消えていくが、
いろんな店もできたり、なくなったりしていても、
まったく風景の芯のようなものは変わっていない。
風があって光がある。
仏陀が感じた風でもあるし、千キロ離れたいまここの光でもあるけど、
なくなったアパートの前に立てば、グーグルアースと私と友人の心のなかだけで残っている
そのアパートはやはり懐かしい。
十年歩いてみないとわからない。