広島、長崎へ旅をした。
原爆も原発も同じだと思った。

言葉を介さずして、この原爆の悲惨を受け止めたいとずっと考えていた。
だから資料館はつまらなかった。
投下目標の目印となったT字の相生橋に立って六千度の熱線を思った。
はだしのゲンの原画展を見て涙した。
ゲンのまっすぐさが魂にささった。
松江でゲンが閉架扱いとなった。
大江の『ヒロシマ・ノート』を購入してまた言葉に帰った。

被爆者は原爆の地獄よりもその後の差別などの人の地獄の方が恐ろしかったと聞いた。
被爆者の戦争は終戦から始まった。

戦争はわれわれの心のなかにこそある。
それがなくならないかぎり、ふたたび原爆はこの地球上のどこかに落ちるだろう。

ゴッホ展ではゴッホゴッホになる瞬間を見れた。

われわれはまずもって人間にならなければならない。
人間はまだ返されていない。