騒々しい観光客らは、まだ来たことがなく、この沈黙した大いなる者と共に、あなたは独りでいることができた。その下に坐っていると、樹は天へ聳えるほど巨きく、時間も消えた。永い歳月によって沈黙の威厳を身につけ、老年の無関心に達していた。それはあなたの精神と同じように沈黙し、あなたの心と同じほど静まり、時間の重荷を負うことなく生きていた。あなたは、時間さえ触れたことのない慈悲と、傷、不幸というものを知らない無垢を感じていた。あなたはそこに坐り、かたわらを時間が通り過ぎた。それはけっして帰ってこないだろう。そこには不死があった。そこでは、まだ死が起こったことがないからだ。その巨大な樹と雲と大地以外には、なにものも存在していなかった。あなたはその樹のところに通い、共に坐った。毎日、毎日が祝福だった。そこから離れ去ったとき、あなたは初めてその祝福に気づいた。なにかをもっと求めて樹のところへ帰ることなどできなかった。そこには、もっとというものなど存在しなかった。『クリシュナムルティの日記』クリシュナムルティ