天皇即位式の前後だった。私の部屋は、八王子の旧バイパスに面している。
式の二日前から夜は静かで、窓越しに見ればまばらな車も、ライトを落として走っているようなおとなしさだった。連休は帰省や旅行が多く都内の人口が減っていたはずで、その影響や、警備の様子を確かめに外へ行きたくてならなかった。『なにもしてない』笙野頼子