すなわちそっくりそのままのかたちで直立し、夜が明けても透明な青緑色の靄の厚みをとおして、そのままの彼らが見られるにちがいなく、それはあたかも行軍中に不意に地殻の大異変に会って生き埋めになった軍隊が、目に見えないほどゆっくり移動する氷河によって、それから十万年か二十万年後に、そっくりもとのかたちで吐きだされるのとおなじで、その昔のドイツ人傭兵たち、胸甲騎兵たちもいっしょくたになだれ落ち、ガラスのかすかなひびきをたてて砕け散り…『フランドルへの道』クロード・シモン