もしかしたらそれは外界とわたしとのあいだに一種の夢みたいなものを介在させたらしい(それに応じてわたしの視覚能力も減衰させた)あの熱のせいかもしれなかったし、それともまた顔のやつれた老人と老人と同室だったあの部屋の明かり足りなかった(狭い内庭かなにかに面していたとか、方角がわるかったか、それとも隣の建物と近すぎた)せいかもしれず、というのも後にわたしが新しい部屋(個室)に移されたとたんに部屋中に光が溢れたからだが…『路面電車クロード・シモン