味はともかくそういったもので腹を満たし、昼間のうちは目をつぶっていたのだが、寝ているのか起きているのかはっきりしたことは誰にもわからなかった。夜もただ歩く夢を見ているだけなのかもしれないとは誰もが疑っているところだった。ときおり腰のあたりでカチッ、カチッと火花が散り、それで我に返ることがある。腰帯にさげたふたつの石がぶつかり合うと家畜たちのことを思い出してしまうのである。『クレーターのほとりで』青木淳悟