勤め人なんて一人のこらず、ぼろ屑みたいな人間ばっかりなのだろうか。たとえ朝の間の二、三時間くらい商会のために活用できなかったとしても、じつは良心の呵責をおぼえて気ちがいみたいになりながら、しかも、どうしてもベッドから離れられなかったような、そんな正直で誠実な人間はやつらの中には一人もいないというわけなのか。『変身』カフカ