地面にひざをつき、葉の一枚を手にとって見つめてみた。その葉にはこれまで僕の知らなかった冷たさがあり、輪郭があった。僕の両目からはとめどもなく涙が流れ、涙ににじみながら目のまえにあらわれた世界はあらわれながら何度でも生まれつづけているようだった。『ヘヴン』川上未映子