比良山は、六甲山に似て、草いきれがうすく、それでいてわびともさびともちがう、淡いながらに何かがたしかにきまっているという共通感覚をさずけられるのが好きであった。好ましく思うひとたちでとでなければ登りたくない山であった。『徴候・記憶・外傷』…
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