崖の上に、落日に染められた桜島岳があった。私が歩くに従って、樹々に見え隠れした。赤と青との濃淡に染められた山肌は、天上の美しさであった。石塊道を、吉良兵曹長に遅れまいと急ぎながら、突然瞼を焼くような熱い涙が、私の眼から流れ出た。拭いても拭…
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